国まで潰したワーグナーはけしからん!大悪人?ワーグナー大先生 <1813-1883> 2月13日がワーグナーの命日だったということで、やはりけしからんシリーズ第三弾はリヒャルト・ワーグナー大先生でいきましょうか。 ワーグナーといえば歌劇を上回る規模の「楽劇」を創始し、無限旋律を駆使して巨大な音響空間を作り上げ、あまたの名曲を残した偉大な音楽家・・・というのは確かにその通りだが、実態は無二の親友の妻を略奪するわ、自分を庇護してくれた国の財政を破綻させるわ、とケシカラン度も桁はずれのお方。 10年以上前にアメリカのTVシリーズで「ワーグナー」という番組があった。確かワーグナー役をチャールトン・ヘストンがやっていたような気がするのだが、この番組の中でもワーグナーの華美好き・巨大好き・浪費癖がクローズアップされていたように記憶している。 とにかく頑固な上に女好き、おまけに派手好き。同時代の他の音楽家はてんで馬鹿にするのに、自作の偉大さを信じて疑わない尊大さ。桁外れの浪費のために遂に借金取りに追われ、諸国を放浪している時に 救いの神・バイエルン国王、ルードヴィッヒ二世に拾われる。 普通不遇の状態を救ってもらえたら多少人間は謙虚になるものかと思うのが凡人。ワーグナーはそんなことを塵も思わない。バイエルン公国の国費を湯水のように使いまくって豪華な家に召使、毎夜の宴会に演奏会、と浪費の限りを尽くす。その大浪費生活の中で「トリスタンとイゾルデ」や「神々の黄昏」などの傑作群を書き、なおかつついには自分が満足できる状態で上演できるように自分の作品専用の演奏会場、 バイロイト祝祭劇場まで立てさせてしまう。 このパトロンのルードヴィッヒもすごい。19世紀の終わりだというのにバリバリ中世夢ン中みたいな ノイヴァンシュタイン城を(当然ながら国費で)おっ立てて、自分が死んだらその城も爆破してくれなどとのたまった夢想家。しまいには家臣に見限られて殺されてしまう(死因不明、自殺とも言われるが謎)。 この19世紀末に降り立った二大夢想家によって、哀れバイエルン公国は 破産状態にまでなってしまうのだ。もちろんワーグナーはそんなことには我関せず。なんと親友の指揮者 フォン・ビューローの妻コジマまで寝取ってしまうのだ。このビューローはワーグナーの作品を数多く初演し、最大の理解者だったにも関わらず、である。全く油断も隙もない奴なのだ。 現在残っている彼の肖像画も豪華な衣装に包まれて、まるで王侯貴族様のようだ。そして自身の過激な反ユダヤ主義は、半世紀後に ナチスに利用されることになる・・・彼の及ぼしたメイワクは、ナチスの時代まで繋がってしまうのだからとにかくスケールがでか過ぎる。 彼の残した名作群は確かに評価に値するし、後の音楽家に与えた影響も計り知れない。マーラーもドビュッシーもフランクもスクリャービンも、皆ワーグナーの魔力に取付かれている。かくいう私も、トリスタンとイゾルデの「愛の死」やワルキューレの騎行を何度聞いたか分からないくらいだ。「愛の死」のあのうねるような官能の嵐、まさに押し倒すような音の波が襲って来るようでたまりません! 彼の音楽にはそうした「悪魔的」魅力が確かにある・・・って、よくよく考えてみれば悪魔のような奴だったんじゃん! いやぁ、けしからん音楽って、ホントにいいですね~。次回は一体誰かな~? ジャンル別一覧
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